【第5回】アトピー性皮膚炎について | 日常生活のコツ
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アトピー性皮膚炎の基本治療は、
・「保湿」を中心としたスキンケア
・必要に応じた外用薬で炎症を抑えること
ですが、ガイドラインでは同時に、入浴・汗・室内環境・衣類・睡眠など「日常生活の工夫」も重要とされています。
今回は、毎日の生活の中でできる「アトピーと付き合うコツ」を整理していきます。
1. 入浴:毎日の「リセットタイム」
日本のガイドラインでは、入浴・シャワーは基本的に「推奨」されています。
・汗、ホコリ、花粉、皮脂汚れなどの刺激物を落とす
・角層にいったん水分を入れ、そのあと保湿で“閉じ込める”
という意味で、入浴は「バリアケアの最初の一歩」と考えられます。
<ポイント>
・お湯の温度は 38〜40℃程度のぬるめ
・入浴時間は 10〜15分を目安に
・ナイロンタオルでゴシゴシせず、泡立てた洗浄料を手でなでるように
・低刺激の洗浄料でやさしく洗う
そして お風呂あがり5分以内の保湿が、第1〜3回でお話しした通り、とても大切です。
2. 汗との付き合い方
汗そのものは悪者ではありませんが、皮膚の上に残ると刺激になることがあります。
・外遊び、運動、部活のあとは、できればシャワーかぬるま湯で流す
・難しければ、水でしぼったタオルでやさしくふき取るだけでもOK
・すぐに着替えられるよう、替えのシャツやタオルを常備
「汗をかいてもすぐケアできるように準備しておく」ことが、日中のかゆみ悪化を防ぐ小さな工夫になります。
3. 室内環境:温度・湿度・ホコリ
冬の乾燥しすぎ(湿度40%以下)はバリア機能の低下につながり、逆に夏の高温多湿+汗+ダニ・カビも悪化要因になります。
<ポイント>
・冬:エアコンを使うときは、加湿器や洗濯物の室内干しで湿度50〜60%を目安に
・夏:エアコンや扇風機で汗をためないようにしつつ、冷やしすぎには注意
・掃除:ダニ、ホコリ、ペットの毛などは、週数回の掃除機+水拭きでこまめに減らす
完璧を目指す必要はありませんが、「極端な乾燥」と「ホコリだまり」だけは避ける意識が大事です。

4. 衣類・洗濯のポイント
・肌に直接触れるものは 綿素材中心で、タグやゴムの当たりをチェック
・チクチクするウールや化学繊維は、肌着の上から重ねる
・新品の服やタオルは、一度洗ってから使う
洗剤は、すすぎ残りが少ないものを適量に。
柔軟剤の香りや成分でかゆみが出る方もいるため、香料・着色料ひかえめのタイプや、肌に合うメーカーを見きわめていくのがおすすめです。
5. 睡眠と「かゆみループ」
アトピー性皮膚炎では、夜のかゆみと睡眠不足が大きな悩みになりがちです。
・夜は体温リズムやホルモンの関係で、炎症やかゆみを感じやすい
・かゆくて眠れない → 寝不足 → 日中もストレスでさらに悪化
という悪循環が起こりやすくなります。
<できる工夫の一例>
・寝る30〜60分前までに入浴をすませる
・寝る前に、かゆいところを中心に保湿剤(化粧水+クリームがおすすめ)や処方薬をもう一度塗る
・パジャマ、シーツは汗を吸う綿素材で、ゆったり目に
・かゆいところには、冷やしタオルや保冷剤(直接当てない)を当てる
どうしても眠れないほどかゆい場合には、短期間の眠気の出るタイプの抗ヒスタミン薬が選択肢になることもあります(必ず医師と相談してください)。

6. 食事・体重・ストレスとの付き合い
食物アレルギーが関係するケースもありますが、自己判断で多くの食品を除去するのは推奨されていません。
・アレルギーが疑われるときは、必ず専門医のもと検査や負荷試験を受ける
・基本は、バランスの良い食事と、過度な糖質制限、極端なダイエットを避ける
またストレスや睡眠不足も、かゆみを増幅させる要因とされています。
「完璧な生活」を目指すよりも、
・できるところから一つずつ
・家族みんなで“マイルール”を作って
・無理なく続けられる形にする
ことが、長い目で見たときのアトピーコントロールにつながります。
おわりに
アトピー性皮膚炎の治療は、薬だけで完結するものではなく、「毎日の暮らし」そのものが治療の一部です。
第1〜3回でお話ししてきたバリア機能・保湿ケアに、今回の 入浴・汗・環境・衣類・睡眠の工夫を少しずつ足していくことで、「かゆみや悪化の山」がゆるやかになっていくでしょう。
すべてを一気に完璧に、ではなく「今日はこれをやってみよう」という小さな一歩からで大丈夫です。
監修者:島村久美子(薬剤師)
株式会社フロックス代表。敏感肌スキンケア、インナーケア成分設計、漢方薬やハーブ活用にも精通。LINOの製品開発・監修を担当し、角層バリアと低刺激設計に基づく情報監修の他、薬局実務も行っています。
資格:薬剤師/漢方薬生薬認定薬剤師
実績:敏感肌向けスキンケアの処方設計/OEM事業多数/スチーム事業監修/教育コンテンツ連載 ほか
開示:本記事のテーマと関連する自社製品の開発・監修に関与しています。